「サマーフィルムにのって」感想+少し考察
こんにちは、ぎっしーです
今回観てきた「サマーフィルムにのって」の感想を、つらつらと書いていこうと思います。
今作ですが、映画づくりをする女子高生の青春ものかと思いきや、タイムマシンや未来人の出て来るSFものの要素もあるという、なんとも欲張りな映画でした。
さて感想ですが、個人的にはかなり良いと思える青春映画でした。
時かけのオマージュ
SF色がありつつも未来のとんでもガシェットが出て来るわけでもなかったので、「時をかける少女」みたいな感じで楽しめました。実際作中でも出てきましたので、オマージュ元ではあるのかなと思います。ですが今作は未来でまた会おうというよりは、別々の時間を生き、映画というバトンをつなぐという感じで、再開のない別れが描かれており少し切ない感じもありました。
映画づくりにかけた青春
映画づくりがテーマの今作ですが、高校生ならではの手作り感が好きでした。照明なんて自転車使って人力ですからね。撮影もスマホだし、かなり限られた予算の中でやっている感があり、その小ささというかが好きです。
後半のライバルチームが助けに入るシーンで、技術を教えてもらう描写からもわかるように手探りでやっていたんだなというのが感じました。最初は映画に対して、戸惑いもありつつもという感じだったメンバーたちも、ちゃんとハダシファミリーの一員になっていた後半の様子はとても良かった。
高校最後の夏休みに、ここまで情熱をかけられるものに出会えたというのは羨ましいなと思います。
ハダシ監督が大物監督になれた理由についての考察
他作にはなりますが、「映画大好きポンポさん」の作中にこんなセリフがあります。
ハダシにとって一番見せたい誰かといえば、言うまでもなく凛太郎ですね。
その凛太郎に届けたいという思いから、成長を重ね大御所監督へとなったと考えられます。相手は自分と同じぐらいに時代劇が好きな人ですから、甘いものは作れないわけで、かつ自分のこだわりだってわかってくれるだろうという期待もあるでしょうし、ハダシ監督の作品は癖の強いものだろうなと思います。
さらに映画という文化を残す、映画のバトンを凛太郎へと渡すという目標があるのですから、作中ではアラの多いハダシ監督でしたが、大物へと成長する布石的なものはあったんですね。
「私たちの青春は、傑作だ」というキャッチコピーの通り、まさに「サマーフィルムにのって」という青春は傑作でした。
夏を感じると同時に、いろんなことにまっすぐに打ち込めたあの時を思い出す、そんな映画でした。
幕引きの仕方が疾走感があり、とてもお気に入りです。かなり無駄なところを削ぎ落としているなと感じ、この時間いらないだろと感じさせる瞬間が無く、僕の性癖にすごく刺さる映画でした。
「サイダーのように言葉が湧き上がる」感想
こんにちは、ぎっしーです
この映画はずっと観よう観ようと思いながらも、ずるずると観ずにいた映画でした。
こういうダラダラと先延ばしにしてしまう癖は治したいものです。
さて本映画ですが、監督は「四月は君の嘘」で有名なイシグロキョウヘイ監督です。
まずこの映画で目を引くのは、色彩の豊かさです。片田舎のショッピングモールが舞台の大部分を占め、緑が広がる田舎の風景の中にカラフルな建物、すごく印象的です。さらに、建物内やヒロインの家などカラフルな色彩の印象が強い映画です。とても視覚的に楽しめる作品だと思います。
演出として度々使われるのが、画面を二つに分けた演出です。主人公とヒロインの二人を分割した画面で、同時並行で観せる演出。それを彩るのは牛尾憲輔氏による音楽も合間ってとてもいい演出でした。
序盤に「声に出さなければ伝わらないこともある」といった意味のセリフがありましたが、声に出さなかったことによって発生した問題と、しっかりと声に出して伝えるという二つの描写で、序盤のセリフの重みがしっかりとあり、この映画における主人公のチェリー君の成長が感じられる展開でもあり、僕はとても好きです。
まさにサイダーのように爽快感のある、夏にふさわしい映画でした。
あとパンフレットのつくりがすごかったです。作中のレコードを模しており、作品の世界に最後まで浸れる素晴らしいつくりで、グッズとしてとても良いものでした。
河崎実監督最高!!!「遊星王子2021」
こんにちは、ぎっしーです。
池袋シネマロサにて「遊星王子2021」を観てきました。
低予算映画、特撮好きの僕にとって、この映画はずっと楽しみにしていた映画です。
この映画は、古の特撮作品「遊星王子」のリブート作品です。リブート元の「遊星王子」は、「月光仮面」でおなじみの宣弘社による60年以上前の特撮作品です。そんな古典とも言うべき作品がこの令和の世に蘇るわけですから、その文言だけでもなかなかに熱いものがあります。
僕はリブート元の「遊星王子」は名前しか知らず、河崎実作品も初めてでした。予告を見た感じでなんとなくの雰囲気とノリは理解しながらも、何が起きるのかとワクワクした状態で公開を心待ちにしていました。
幕が上がった後はもうこの作品の世界に引き込まれ、完全に虜になってしまいました。
感想
親しみの持てるヒーロー像
マンホールからヒロインたちの元へ登場した遊星王子。その登場は笑いと衝撃のダブルパンチです。
そんな衝撃的な登場でしたが、あんぱんがエネルギーの源だったり、テレビ出演のシーンや素直でまっすぐな性格が、とても愛らしい親しみの持てるヒーローになっていると思います。特にまこと少年とのキャッチボールのシーンは王子が父のようでもあり、友人のようでもある、ノスタルジックなシーンでとても好きです。
温かみのある演出
まず前述のマンホールから現れるシーン。衝撃しかありませんでした。
宇宙人である遊星王子独特のちょっと外れた言動や行動と、周辺の人物たちのやりとりや間がとてもテンポが良く、ギャグシーンがとても面白かったです。特に有村さん・本橋さん・三上さん達のシーンは、低予算感満載のセットの中ですごく真面目に話しているのがとても笑えました。この映画で一番笑いました。
タルタン人がブランコに乗って愚痴っているシーンは、悪役ながらも何となく親しみの持てる、憎めない悪役という感じがしました。全体的にだいぶコミカルに描かれているタルタン人も、この作品のいいスパイスになっていると思います。
食卓を囲むシーンなど、古き良き昭和の風景といった感じのシーンが随所に見られ、ただのヒーロー映画という側面だけでなく、昭和の時代を令和に持ってきたという印象が強かったです。テレビもブラウン管でしたし。
昭和特撮のリスペクト
今作は「遊星王子」という作品のリブート作品であるため、原作へのリスペクトはもちろんのこと、OPに「ウルトラマンの歌」要素も入れ混んだり、悪役ガザルのデザインなど随所に見られる昭和特撮へのリスペクトを感じた作品だった。
ウルトラシリーズが好きな僕として、はEDでの団時朗さんときくち英一さんのツーショットはとても熱いものを感じました。「帰ってきたウルトラマン」の二人ですからね。
今作は河崎実監督の様々なこだわりが散りばめられた映画だ思う。
好きなものを、やりたいものを作るというのはこういうことなのだと感じさせるこの映画は最高にクールで暖かい、とても素晴らしい映画だと僕は思う。
こういう映画は大好きだ。